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「あの、──」
「大変です! 左之介が鍛練中にびっしょり汗をかいて倒れちまって──」
香苗が口を開きかけたとき、隊士と思われる男性が泡を食ったように駆け込んできた。
「左之介が? 水を飲ませて寝かせておけ」
何でもないように土方が言い捨てる。しかし、香苗は慌てて立ち上がり、声を張り上げていた。
「冷たい水を用意してください! 一つは飲ませるため、もう一つは太い血管のあるところを冷やします。あと、砂糖と塩も!」
「何だと?」
「早く! 脱水症状と熱中症を起こしているかと思います。その左之介さんっていう人に死んでほしくなかったら怪しくても尋問したくても、今は私の言う通りにしてください! そこのあなた、早く水を汲んで! あなたは台所から砂糖と塩を持ってきて!」
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