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香苗が返事に窮していると、それまで黙って見ていた慶喜が香苗の傍らに立ち、優しい口調で口を開いた。
「名は何というのかい?」
「月島……香苗です」
「香苗か……育ちはいいようだけど、帰るあては?」
「……ありません……」
タイムスリップなら、元の時代に帰る方法など分からない。絶望してうつむくと、慶喜が慰めるように香苗の肩に手を置いた。
「それなら、ここにいればいい」
「慶喜様……! そんな得体の知れない奴を勝手に……」
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