第1章

25/30
前へ
/30ページ
次へ
香苗が返事に窮していると、それまで黙って見ていた慶喜が香苗の傍らに立ち、優しい口調で口を開いた。 「名は何というのかい?」 「月島……香苗です」 「香苗か……育ちはいいようだけど、帰るあては?」 「……ありません……」 タイムスリップなら、元の時代に帰る方法など分からない。絶望してうつむくと、慶喜が慰めるように香苗の肩に手を置いた。 「それなら、ここにいればいい」 「慶喜様……! そんな得体の知れない奴を勝手に……」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加