第1章

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土方が抗議の声を上げる。けれど、慶喜は飄々とした笑みをたたえて言い返した。 「今の香苗の働きを見ただろう? 放っておいたら左之介は死んでいたよ。それに、飯炊きくらいには役に立つだろう」 「ぜひよろしくお願いします……!」 渡りに船といわんばかりに香苗は頭を下げた。平成の貨幣はこの時代では通じない。ここを出されても行くあてもない。無一文で野垂れ死ぬのがおちだろう。治安が悪ければ、どんな恐ろしい目に遭うのかもしれない。ならば、ここが手っ取り早く安全な場所だ。
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