第1章

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「いえ……私は露天で……」 「すごい偶然ですね。でも香苗さんもよく似合ってる」 沖田はてらいなく笑い、香苗はブレスレットを購入した店主の言った内容が頭のなかで反響していた。 ──人生を変える出逢いをもたらしてくれる。 香苗は改めて沖田を見つめた。穏やかな眼差し。井戸から引き上げられたとき、怪しむより先に着替えと熱い茶をと言ってくれた。左之介を介抱したときも、聞き慣れない言葉を連発したのに変に疑わず、手際を褒めてくれた。
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