第1章
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縄のついた桶だった。がむしゃらにしがみつくと、上の方から声が聞こえてくる。 「おい、ちょっと来てくれ!」 「ただの水汲みに何の手助けが必要なんだよ」 「何かくっついてきてるんだよ! 重い……って人か!?」 着物姿の若い男性が覗き込んできて、うろたえた声をあげる。香苗は夢中になって叫んだ。 「──助けて! お願い、助けて!」
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