聖戦

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「今回の拳銃を買われることは、今の組長もご承知でしょうな」 「もちろんです」 「中学生とかお聞きしましたが」 「交渉ごとは私がやっております」 「噂に聞いとります。貴方が【雷文の嫁】と言われているお方ですな」 「噂になってますか」 「組長は養子ですか?」 「いえ、れっきとした実子です」 「先代の落としだね・・・ですか」 「まぁ・・・・」 「わかりました。ご注文は賜りました。そうだ、酒のつまみに面白いものをお見せしましょう」 「あっ、上着を・・・・」 「大丈夫。暖房しておりますから」 ジャケットを取り損ねた。連絡手段がない。 そのまま若頭の福島に案内され地下に下りていく。ほの暗い地下の廊下は思ったより小奇麗で整頓されている。ここに佐竹が囚われているのだろうか・・・・もしかしたら、佐竹と自分の繋がりがバレているのか? 「ここは?」 「これから面白い趣向をお見せいたします」 部屋は二つ。鉄の扉を開けると、中はガランとした空間。 真ん中に椅子が一つ。佐竹はいない。 すると後ろに控えていた佐々木という男が、急に背中を押して尽き飛ばされた。前のめりにその場に転ぶ。 「雷文雪兎、拳銃100丁買うというが・・・抗争のネタはなかったよ」 「くそっ」 そのまま入口に向かって飛び出そうとしたが、福島に羽交い絞めにされる。 あっけなくつかまり後ろ手に縄で縛りあげられた。 「噂の【雷文の嫁】というからどういう男かと思えば、ただの平凡な男。ヤクザが争ってアンタを手に入れたがる意味が分からない。こんな男のどこがいいのかね」 「ただ拳銃を売ってくれればいいんだ。上客になるはずだ」 「まだ、芝居を続ける気か?この取引は高遠の組長も知らん。俺が独自に受けた話だ。組長を出し抜いて【雷文の嫁】を商品にしようと思ってな」 「僕を商品に?」 「ほうぼうのヤクザから注文があってな。特に龍仁会からの依頼が多い」 「龍仁会?」 「前の会長はアンタに手を出そうとして、雷文虎太郎に殺されたんだよな」 「それは・・・・」 「アンタ、男を喜ばす手管でももっているんか?」 「そんなものはない!」 「アンタのせいで前の長老も、雷文も、身を崩したんだろ?」 「雷文も、身を崩した・・・・・?」 「舎弟どもと懇(ねんご)ろになってるとか、躰で引き留めてるって噂がある」 「そんなことはない!みんな組長を慕って励んでいるだけだ」
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