12人が本棚に入れています
本棚に追加
猛暑日が続く2014年の夏。
夏といえば何だろうか?
海、かき氷、夏休み、お祭り、キーワードを挙げればキリがないが、どれか一つに絞って答えるのは難しいだろう。
しかし、僕の周りの人間ならば、今年の夏に限り、満場一致で一つのキーワードを思い浮かべるだろう。
それは【オアフの箱】だ。
この言葉に聞き覚えがない人も多いだろう。
だが僕の住む町では、知らない人はいないほど、この夏一世風靡したキーワードなのだ。
今年の夏と前置きさせてもらったが、オアフの箱がこの町で話題になったのは、今から一ヶ月前、雨が降りしきる六月のことだった。
中学時代の同級生が心不全で亡くなった。
この心不全っていうのは、大抵が原因不明の死因にあてがわれる言葉だ。
つまり、その同級生の死因も判明していない。
しかし、臨終の間際「オアフの箱」と言葉を残したのが始まりだった。
それからというもの、オアフの箱というキーワード絡みで亡くなる人間が相次いだのだ。
一体それはどのような物なのか?
デスクトップのパソコンが入るくらいの真っ白な大きな箱で、それを開けた人間には三日後に死が訪れるという、いわゆる禁忌物のオカルトだ。
オカルトと表現したが、実際自分の目で見るまでは信じる事が出来ない。
自分の身の周りで起きた恐怖の事件ではあるが、今ひとつピンときていなかったのだ。
そう、僕の元にそれが届くまでは。
最初のコメントを投稿しよう!