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7月21日 12時
締め切ったカーテンを突き抜け、刺激的な日光を顔中に浴びて、唸りながら目覚めた。
時計に目をやると、針は正午12時を指していた。
眠気から来る重力に抗いながら、重い体を起こし部屋のドアを開けた。
「あ、おはよう恵」
「おはようじゃなくて、おそようだよ!」
昨日の衰弱ぶりは嘘のように、元気な姿を見せた恵に、ホッと胸をなでおろした。
本当は、呪いなんてかかってないんじゃないか?
そんな気さえ感じさせてくれる。
「お兄ちゃん、お腹空いた」
「はいはい、すぐ作るよ」
サッと簡単な料理を作ると、二人でランチタイムをとり、静かな日常の生活を送った。
ランチの後は、しばらくの間二人でテレビゲームをしながら、昨日の出来事を忘れようと努めた。
しかし、部屋の片隅に置いてある箱を見る度に、嫌な記憶を思い出す。
恵が呪いをかけられた事実に。
どこか集中出来ずにゲームをしていると、恵が箱のことに触れてきた。
「ねえ、あの箱どうするの?」
「どうするって、分からないよ。あのブログみたいに、どこかに埋めて埋葬するか」
「意味…ないんでしょ?」
「え?」
「続き…無かったんでしょ?」
「…」
無言のままゲームを続けていると、ふいに静寂を破る現象が起きた。
テレビが急に暗転したのだ。
「あれ?」
電源が落ちたのかと確認のためテレビに近付くと、暗転した画面に、忌まわしい記憶を呼び戻すあの黒い鳥が映し出された。
「うわぁっ!」
僕は後方に飛び退き尻餅をつくと、画面の中の鳥は、尖ったクチバシを開け、死の宣告をした。
二、二、二、二
それは恵の余命を告げる「2」という数字にほかならない。
鳥がゲハハハと下品な笑いを残すと、画面が暗転し、再びゲームの画面に戻った。
部屋の時計は19時を指していた。
恵は恐怖のあまり、頭を抱えて震えている。
僕は片隅に放置してある箱を持ち、勢いよく部屋のドアを開け放った。
「どこに…行くの?」
恵が不安な顔を見せて尋ねてきた。
「埋めてくる。これで呪いが解けるか分からないけど、何もしないよりマシだ」
「私も…行く」
自宅の裏手の山に入ると、生い茂る木々の中でも、一際巨大な大木の下に穴を掘り、箱を埋めると、二人で手を合わせた。
「これで…大丈夫だよね?」
「ああ、きっと大丈夫だ」
信じるしか…ない。
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