04 感嘆 #2

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――まるで、世間話をするように。 谷田部課長がサラリと放った言葉に反射的に頷きかけた私は、その意味するところに『はた』と気付き、身を強ばらせた。 この男は今、『相変わらず』と言った。 つまり、以前から私を知っていると言うことだ。 おまけに、続く言葉は『面白い人だね』 ってことは、 成り立つ図式は、ひとつしか思い浮かばない――。 谷田部東悟=榊東悟。 私は、隣で愉快そうにクスクス笑い出した谷田部課長に、呆然と、ハンドルを握りしめながら驚きの視線を向けた。
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