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時の流れというやつは、人間を変えてしまう力を持っているらしい。
それを私は、元恋人の変貌ぶりを目の当たりにして、しみじみ実感していた。
私の知っている榊東悟と言う男は、思ったことを顔にも出さずに平然としていられるような『できた』人間じゃなかった……はず。
どちらかと言えば『感情の動きが表情直結』で、今機嫌が良いのか悪いのか、とても分かりやすかった。
嬉しくなったり、悲しくなったり。
ドキドキ・ハラハラ。
その表情が変わる度に、あの頃の私は一喜一憂していた。
確かに、年齢的には20歳そこそこで若かったこともあるだろうけど、あの頃の東悟から、今目の前にいる『大人然とした』谷田部課長を想像するのは、難しい。
少なくとも、私には想像できない。
ここまで完璧な『ポーカー・フェイス』は、見たことがなかった。
こんな、人をおちょくって愉快そうに笑うような……ところは、確かにあったけど。
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