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ダメだ、その気になったりしちゃダメ。
私は、こう言うのに慣れていない。
深入りしたら、きっと後戻り出来なくなってしまう。
そう、心の隅で本能が警鐘を鳴らしている。
だけど――、
「返事は? イエス、ノー?」
「……」
「イエス、オア、ノー?」
向けられる視線が、熱を帯びる。
ジリジリと、
夏の太陽に照らされ色づき始めたトマトは、どんどん赤みを増して完熟状態。
そうなれば、後は重力に引かれて地面に落ちるしかない。
「イ、イエス……」
それに。
私も、この人を、榊東悟と言う人を、もっと知りたい。
口から零れだした答えは、
そんな、隠しようがない本心の発露だった。
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