14 告白-1 #2

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「本当はわしが行くはずだったんだが、少し都合が悪くなってしまってな。時間外にすまないが、2人で出席してくれないか?」 偉そうに上から目線で命令されれば反発のしようがあるけど、こうも下手に笑顔でお『願い』されたら、嫌と言えるはずがない。 さすが、大海太陽(おおみたいよう)、 一代で小さな町工場を県下一の大会社に叩き上げた実績は伊達じゃない。 この人は、お金や権力では人を動かさない。 心で人を動かすのだとそう思う。 「はい、そういうことでしたら、お任せ下さい。でも、服装は、スーツでもよろしいのでしょうか?」 「ああ、それなら心配はいらない。この店に行って、適当なものを見繕っていきなさい。話は通しておくから」 渡された名刺を見て、思わず目を見張った。 わあ、ここ、高いので有名なブティックだ……。 さすが社長、太っ腹。 「谷田部君はそのままのスーツで、構わんからな」 「分かっていますので、お気遣いなく」 若干冷たいト―ンの抑揚のない課長の声に、感じる違和感。
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