14 告白-1 #2

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早速出かける準備をするため課長と2人、10階建ての本社ビル最上階の社長室から、3階にある工務課へと足を向ける。 チラリと課長の表情を伺い見ると、やはりどこか不機嫌そうで、 もしかして自分が何か気に障る事でもしたのかと、ドキドキしてしまう。 このなんとも嫌な雰囲気を払拭したい。 な、何か、話題をふらなければ。 そう思ってほんの軽い気持ちで、エレベーターを待つ間、社長室で感じた疑問を素直に口にした。 「あの、課長?」 「うん?」 「課長と社長って、その、どういった関係かな? ってっ……。なんだか、親しい感じがしたんですけど」 普段、部下相手でも、社交辞令の完璧な営業スマイルを崩さない課長が、あんなふうに露骨に感情を表して応対するのを見ていたら、そんな気がしたのだ。 やっぱり、親戚とかの縁故で入ったのだろうか。 なんて、勝手に答えを先読みしていたら、課長は少し自嘲気味に口の端を上げて、ポソリと呟きを落とした。
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