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「妾腹の息子だよ」
「は……?」
ショウフクさんの息子?
聞きなれぬ単語に首を傾げていると、
「妾の子供の、妾腹」と、私の顔を覗き込んで説明補足。
「えっ!?」
単語とその意味が脳内で合致した瞬間、ギョッと全身が固まった。
め、妾の子供っ!?
物凄い地雷を踏んでしまったと、脳内もフリーズ。
たらりたらりと嫌な汗が背筋を伝い落ち、なんて謝ればいいか凍りついた脳細胞をフル活動させて考えていたら、『ククっ』と課長が喉の奥で笑ったのが聞こえた。
え? 何?
これ、笑うところ?
「なーんてな。嘘。本当は父親の友人なんだ」
な、なーんてな、だぁ!?
「……」
あまりと言えばあまりの言い草に言葉をなくして、愉快そうに笑うその顔を呆然と見上げていたら、課長は少し遠くを見るような懐かしげな眼差しで、ポツリポツリと言葉を続ける。
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