14 告白-1 #2

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美加ちゃんのあの小さなピンクの化粧ポーチは、きっと四次元ポケットになっているに違いない。 その四次元ポケットから取り出したメイク道具を駆使し、 私からすれば、神業に思える華麗なる指さばきで、美加ちゃんは野暮ったい仕事の虫の良い歳をしたOLから、フェミニンでエレガントな淑女に変身させてしまった。 自分で言うのも自画自賛でどうかと思うけど、素直にそう思うのだから仕方がない。 これぞお化粧。 これぞメイクアップ。 その真髄を、垣間見てしまった。 「うわぁ、なんだか感動しちゃうよ、これ。美加ちゃん、あなたはすごい!」 と、感慨深く鏡の中の自分に見入っていたら、 「うーん、まさか髪のセットまではできないなぁ。もう、社長ったら、もっと余裕を見てくれたらいいのにっ」 と、美加ちゃんは、ぶちぶちと文句をたれてから、 「でも、先輩の髪って、サラサラで綺麗だから、そのままでも良いかぁ」と、首の後ろでひとつに束ねてあったセミロングの髪をほどき、ブラシで整えてくれる。 「うーん、この黒メガネが邪魔ですね。せっかく綺麗なのに。取っちゃうと、見えないんでしたっけ?」 「ぜんぜんダメ。ピンボケで、人がいるなぁってぼんやり分かるくらいにしか見えないの」 私の説明を聞いた美加ちゃんはスッと半眼になって何か考えを巡らせてから、ボソリと呟きをもらした。 「……それを上手く利用するって手も、あるなぁ」 「あ、あははは。ありがとう、これで充分よ。本当に、ありがとう」
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