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もしかしたら美加ちゃんも、『そういう恋愛』をしたことがあるのかもしれない。
なんて思っていたら、美加ちゃんは突然私の両腕を『ガッチリ』握りしめて、ぐいっとバッチリメイクのつぶらな瞳を近付けて来た。
「梓センパイっ!」
「は、はいっ!」
「あたし、いつだってセンパイの味方ですからっ! ファイトですよ、ファイトっ!」
「う、うん」
本当、このコは、なんて良いコなんだろう。
他人のことをまるで自分のことのように親身になって応援して。
私はいつもこの明るさと優しさに元気を貰っている気がする。
「ありがとう、美加ちゃん」
正直言って、美加ちゃんの言葉は、とても嬉しかった。
確かに、どう取り繕っても、私は心のどこかで思ってしまっている。
『それでも、あの人が欲しい』って。
それが、許されない願いだと知っていても、そう渇望している自分を自覚している。
だけど、私にも『絶対譲れない一線』というものがあった。
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