15 告白-2

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会社を出て間もなく到着した社長御用達の高級ブティックには、目の飛び出るような値段の高級服がずらりと並んでいた。 ゼロの数が半端じゃない。 桁数が完璧に1つ2つずれている。 普段着は千円トレーナーとジーンズで過ごす私には、まさに別世界。 否、別次元だ。 「あの、これって、レンタルにならないんですか?」 思わず、店員さんに聞いてしまった。 「まあ、ご冗談を」 「でも今日1度しか着ないんです」 と、オホホホと品の良い高笑いをする、スレンダーな熟年店員さんに、尚も粘ってみる。 「高橋さん」 「はいっ?」 店の一角に置かれたオシャレなテーブルセットに鎮座して、用意されている雑誌を見るともなしにペラペラとめくっていた課長に名を呼ばれ、ドキリと視線を走らせる。 「これは仕事なんだから、服装を整えるのもまた仕事。だから遠慮などすることはないんだ。好きな服を選んだらいい。どうせ払うのは、あの狸親父だ」 「あ、あはは……」 そう言われても、 28年で培われてきた経済観念が『それはダメでっせ』とエマージェンシーを発してしまう。 せめて、いちばん安いものを選ぼう……。 ああでも、どれもこれも高い、高すぎるー!
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