15 告白-2

3/13
前へ
/35ページ
次へ
迫る時間に、決まらない服。 焦りまくる私に、 「俺は、3番目に見た服が似合うと思うけど?」 と、背後から、課長の助け舟が飛んで来た。 どんな服を選んでいるのか、ちゃんと見ていてくれたらしい。 「まあああ、お目が高い。これは私共の店でも人気が高いブランドですのよ! それに、スタイルが良くっていらっしゃるから、とてもデザインが栄えますわー!」 ここが押し時とばかりに、店員さんは、ハンガーから服を外して、私の体に当ててみせる。 確かに、素敵だ。 品の良いワインレッドのワンピースに、ダークレッドの同素材のボレロがついている。 私的にも好きなデザインだ。 でも――。 「えっと、その……」 「気に入らないのか?」 真っ直ぐな瞳で問われ、ドギマギしてしまう。 「いいえ、そういうわけじゃないですけど……」 高いんですってば。 私の給料なんて、軽くスッ飛んでしまうくらいに、高いんです! って、叫べたらどんなにいいだろう。 「じゃあ、それで決まりだ。遅刻はできないぞ? さあ、着替えた着替えた」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

637人が本棚に入れています
本棚に追加