15 告白-2

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大手ゼネコン、清栄建設主催の関係業者交流パーティ。 その開催時間の7時まで、あと10分。 ほぼ予定通りの時間に、ホテルの玄関前に横付けされたタクシーを降りた私と課長は、会場である5階のパーティ・ホールに向かうべく、エレベーターに乗りこんだ。 充分な広さがあるエレベーターの中には、やはりパーティに向かうのだろうか、スーツにドレスと言った正装を纏っている数人の同乗者がいた。 エレベーターの中にも、上等そうな毛足の長い絨毯が敷き詰めれれていて、足元の心もとなさがよけいに緊張感に拍車をかける。 ホテルでディナーなんて、いつ以来だろう。 確か、最後は従妹の結婚式で、2年前。 あの時は故郷の小規模な結婚式場だった。 でも、今日の会場は、国内でも最大の規模を誇るホテルチェーンの『ロイヤル』。 格式も高く、建物の規模からして全然違う。 どうも、こう言う華やかな賑々しい場所は性に合わない。 ファミリーレストランでランチセットでも食べていた方がよっぽど美味しいと感じるこの性分を、たぶん貧乏性と言うのだろう。 でも、これは仕事。 それも社長の代理となれば、責任は重大。 仕事だ、仕事だ、仕事だ、仕事っ! 念仏のように、心の中で自分に言い聞かせてみるけれど、プレッシャーはエレベーター並に、加速をつけて大きくなっていく。
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