15 告白-2

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うーっ、やだなぁ。 緊張しちゃうなぁ。 緊張と不安で冷たくなった指先をほぐそうと、ごしごしこすり合わせていたら、隣から低い笑い声が降ってきた。 もちろん、笑い声の主は谷田部課長だ。 「なんですか課長、その意味深な笑いは?」 場所柄をはばかって、若干不機嫌さを滲みださせた小声で言いつつ、チラリと隣に佇む課長の横顔に視線を走らせたら案の定、愉快そうに口の端を上げている。 「いや、別に。なんでもない」 そう言って、また喉の奥でクスクスと笑う。 「なんでもないのに笑わないで下さい、気になりますから。何か変だったら、はっきり言って下さいね。会社の恥にはなりたくないので、私」 あくまで小声で、でも課長には声が聞こえるようにと、耳元に口を寄せて早口にそれだけを言って、すぐに身を引く。 「いや、別に変だというわけじゃいんだ。ただ……」 「はい?」 言葉の続きを待ってたら、課長はふっと目元を和らげた。 それは、特別な記憶に思いを馳せるようなとても穏やかで優しい表情で、思わずドキンと鼓動が波打つ。
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