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「高橋さん!」
闊達とした張りのある声に名を呼ばれ、振り返る視線の先には、見覚えのある色黒の好青年の姿があった。
課長ほどではないけど上背があり、
そのガッチリとした体躯は、日々の現場仕事の賜物で、
健康的な日に焼けた肌と少年のような屈託ない笑顔を持つこの人は、飯島耕太郎、
私よりも2歳年下の26歳。
私も、何度となくお世話になった顔なじみの、清栄建設の現場監督さんだ。
「飯島さん、とても盛大なパーティですね。あ、葵物産の工事では大変お世話になりました」
「こちらこそ、大変お世話になりました」
私がペコリと頭を下げると飯島さんも同じしぐさでペコリと頭を下げてから、外見と同じに陽気な声でカラカラと笑った。
「いやぁ、なんだか見違えちゃいましたよ。いつも事務服にスニーカー履きで、安全ヘルメットを被って図面を小脇に抱えて現場を闊歩している高橋さんのこんな姿が見られるなんて、サボらないで出席した甲斐がありましたよ」
まさに飯島さんの言葉通りで、色気のかけらもなく工事現場を歩き回っている普段の私の姿からすれば、今のドレスアップした出で立ちは、我ながらすごい変わりようだと思う。
なんとなく、童話のシンデレラが思い浮かんで苦笑してしまう。
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