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適度に明かりが落とされた木目調のシックな室内には、ゆったりとした音楽が流され、低い囁き声と微かな笑い声で満ち溢れている。
思いっきり、大人のデート・スポットだ。
入ってきた時にさり気なく見回した感じでは、私たちのように『男女混合2次会御一行様』は居そうにない。と言うか皆無だ。
はっきり言って落ち着かない。でも、一番気がかりなのは……。
「課長、私、持ち合わせ2万しかないんですけど、ここってけっこう高そうですよね……」
飯島さんがトイレに立った隙に、左隣に座る課長にコショコショと耳打ちをする。
「何か、適当に注文しておいて下さい。誘ったのは俺なんで、今日はしっかりおごらせてもらいますからね」
飯島さんは、そう言い置きして行ったけど、まさか本当におごらせるわけにはいかない。
かと言って、こちらが全額負担するほど持ち合わせがないのが現状で、最悪は、割り勘という形になってしまいそうだ。
でも、それでは、会社のメンツが立たないのじゃないだろうか。
そんな心配ばかりが先に立ってしまう。
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