15 告白-2 #2

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適度に明かりが落とされた木目調のシックな室内には、ゆったりとした音楽が流され、低い囁き声と微かな笑い声で満ち溢れている。 思いっきり、大人のデート・スポットだ。 入ってきた時にさり気なく見回した感じでは、私たちのように『男女混合2次会御一行様』は居そうにない。と言うか皆無だ。 はっきり言って落ち着かない。でも、一番気がかりなのは……。 「課長、私、持ち合わせ2万しかないんですけど、ここってけっこう高そうですよね……」 飯島さんがトイレに立った隙に、左隣に座る課長にコショコショと耳打ちをする。 「何か、適当に注文しておいて下さい。誘ったのは俺なんで、今日はしっかりおごらせてもらいますからね」 飯島さんは、そう言い置きして行ったけど、まさか本当におごらせるわけにはいかない。 かと言って、こちらが全額負担するほど持ち合わせがないのが現状で、最悪は、割り勘という形になってしまいそうだ。 でも、それでは、会社のメンツが立たないのじゃないだろうか。 そんな心配ばかりが先に立ってしまう。
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