16 郷愁

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でも、やっぱり、 どう考えても、このまま課長と2人っきりはまずいと思う。 「ありがとうございましたー!」 相変わらず元気な店員さんの声と笑顔に見送られて、コンビニの駐車場の端まで歩いてピタリと足を止める。 コンビニの袋を持って、不思議そうに私の顔を覗き込むその顔を、きっと見上げ。 意を決して、今度はびしっ! と言い渡す。 「課長、タクシーを呼びますからね、いいですねっ!」 「呼んでもいいけど、せめて腹ごしらえをしてからにしてくれないか?」 ボソリいうその言葉と、『グゥ~ッ』というひょうきんな音が重なった。 「ほら、腹の虫が文句をいってる。腹が減っては戦はできないってね。昔の人もいってるだろう?」 戦って、 今から戦をするんですか、あなたは? 「……約束する。食事が終わったらすぐに帰る。だから、俺を信用してくれないか?」 「……」 ボソリと落とされた呟きに、答えることが出来ない。 この人を信用していない訳じゃない。 たとえ酔っていたとしても、嫌がる人間に無理強いをするような人じゃないって、良く分かっている。 酒の勢いで女をどうこうするような男なら、歓迎会の夜、私のアパートに泊まった時に、どうにかなっていたはずだ。
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