15 告白-2 #2

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「金のことは心配するな。ちゃんと狸親父から預かっているから」 苦笑めいた表情を浮かべる課長の言葉に、驚いて目を丸める。 「え……、だって、いつの間に?」 社長に呼び出されたときに貰ったのは、ブティックの名詞とパーティの招待状だけだったはず。 そこまで考えを巡らせて、『あっ!』っと、思い当たった。 そう言えば会社を出るとき、課長は『社長に呼び出しをくらって遅くなった』と言っていた。もしかして、あの時? 「そう、会社を出る間際に呼び出されて、軍資金をたんまりと貰ってあるから、心配するな」 私の思考回路などお見通しのようにそう言うと、課長は胸元をポンポンと軽く叩いた。 「あ、ああ、そうなんですか。それなら良かったぁ」 せっかく、パーティでは大きな失敗をせずにすんだのに、ここに来て会社のイメージダウンに貢献するところだった。  「相変わらず、心配性だな」 心底、ホッとして胸をなでおろしていると、笑いを含んだ声が降ってきて、ドキッとする。
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