15 告白-2 #2

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ほどなくして、飯島さんのテーブルには、黒ビールと枝豆と言う季節を先取りしたようなメニューが置かれた。 私と課長のテーブルに置かれたのは、チーズ類の乗ったおつまみの皿と、赤ワイン。 トンと、自分のテーブルに赤ワインのグラスが置かれて始めて、私は自分の置かれた状況にハッと気付いた。 し、しまった! ウーロン茶かアイスティを頼むんだった! 目の前にワイングラスが置かれるまで、『そのこと』に思い至らなかった自分のあまりの呑気さに、心の中で盛大な舌打ちをする。 この状態でさすがに『飲めません』とは、言えるはずがない。 ワインは、空きっ腹にとても良く効く。それはもう、効きすぎるくらいにとても良く効く。 悲しくなるくらいの自分の間抜けさに、もう笑う気力もでない。 でも、気力を振り絞って笑顔を作り、ワイングラスに手を伸ばす。 この一杯だけ。 後は、絶対、是が非でもウーロン茶にさせてもらおう。 「それでは、我々の前途を祝して、乾杯!」 私の苦境を知るはずもない飯島さんの陽気な乾杯の音頭で、恐る恐る、ワイングラスを口に運ぶ。 コクリと一口赤い液体を口に含んだ瞬間、フルーティな軽い甘さが、フワリと鼻に抜けていった。 「あ、美味しい……」 思わず、素直な賛辞の言葉が口をついて出る。 ワインってあまり得意じゃないけど、これは好きかもしれない。
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