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や、やばい。頑張れ私!
「飯島さん、あ、あのですね」
「はいどうぞ」
とっ散らかった脳みその指令で、舌が上手く回るわけもなく。
「あ、あの、実はっ――」
パパーッ! っと、
突然上がったクラクションの音に、口にしかけた言葉はまたもや遮られて。
「あ、ほら、他の車の邪魔になってしまうから、急いで」
お昼を前に混雑がピークに達しつつあるコンビニの駐車場に、このまま飯島さんの大きな車を停めておくわけにもいかず。
ハッと気が付けば、私は走り出した飯島さんの車の助手席に、ちんまりと借りてきた猫のように、鎮座していた。
あああああっ。
乗ってどうする、このオタンコナスビっ!
言え、今すぐ言うんだっ!!
あまりと言えばあまりの自分の要領の悪さに眩暈を覚えながらも、
まだ残っている理性の命令に、私はなけなしの勇気を振りしぼった。
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