17 逢瀬-1

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「い、飯島さんっ!?」 反射的に上げた瞳が、飯島さんの真っ直ぐな瞳に捕まって、金縛り。 そのまま動けなくなってしまった。 長いような、たぶん一瞬の視線の交錯。 驚きの眼で見つめていたその瞳が、フッと愉快そうに細められる。 「まつ毛、付いてましたよ。ほら」 「えっ!?  あ、ええっ!?」 飯島さんのがっしりとした骨太の指先に、黒いまつ毛を認めて、カッと頬に血が上る。 あああ。痴漢扱いの反応をしてしまった。 信号が青に変わり、クスクスと笑いながら車をスタートさせた飯島さんの横顔に、「ご、ごめんなさいっ!」と、頭を下げる。 「謝らないで良いですよ。今のは、半分わざとだから」 「は?」 わざと? わざと、頬に触ったってこと? なぜか、湧き上がったのは、漠然とした不安。 『明るく陽気で仕事ができる大手ゼネコンの現場監督さん』 もしかして、私は飯島さんと言う人を、見誤っている? 尚も愉快そうに笑う飯島さんの横顔を、私は、一抹の不安を覚えながら、呆然と見つめた。
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