576人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
飯島さんと、遊園地。
意外と言えば意外だけど、似合っていると言えば似合っているかもしれないこの組み合わせ。
始めこそぎこちなくてギクシャクしていた私も、飯島さんの飾らない底抜けの明るさに引っ張られて、いつの間にか、このひと時を楽しんでいた。
明るくて、行動的で、楽しくて。
こういう人を、ネアカって言うのだろう。
今まで、私の周りにはいなかったタイプの男性だ。
少し強引だけど、嫌味がないから、その強引な行動も思わず笑って許せてしまうようなところがある。
この人は、きっと男女の別なく友人が多いのじゃないだろうか。
学生時代に比べれば、社会に出て揉まれた分、いくらか対人関係に進歩の跡が見られる程度の私からすれば、美加ちゃんとはまた違う意味で、羨ましい存在ではある。
「でも、よかった」
「はい?」
脳内で飯島さん分析に勤しんでいた私は、今までとは違う穏やかなトーンの声に引き寄せられて、彼の顔に視線を走らせた。
相変わらず、まっすぐ向けられる視線は、声と同じように穏やかで優しい。
「笑ってくれて、よかったと思って」
「え?」
その言葉の意味が分からず、小首をかしげていると、飯島さんは鼻の頭をポリポリと書きながら、私の疑問に答えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!