17 逢瀬-1

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「あれ? 谷田部ってもしかして課長の谷田部さん?」 「はい、カチョウの谷田部東悟ですっ」 珍客乱入に、目を丸める飯島さんの呟きに、その子、真理ちゃんはニコニコ笑顔で大人顔負けの挨拶をした。 ドキドキドキと、鼓動が限界点で暴走する。 この子がいるってことは、十中八九。 「真理、1人で先に行ったら迷子になるって……」 少女を追って歩いてきたその人、谷田部課長は、私と飯島さんに気付いて、さすがに絶句した。 そして、課長の腕に手を添わせて優雅な足取りで歩いてきた、美しい女性に、視線が釘付けになる。 おそらく何某のブランドであろう、品の良いライト・ベージュのワンピーススーツに身を包んだその人は、私たちに気付くと、自然なウェーブのかかった栗色の髪をフワリとなびかせて、課長の隣で微笑んだ。 香水だろうか。 風に乗って届いた甘いフローラルの香りが、鼻腔をくすぐる。 「東悟さん、この方たちは?」 凛と、澄んだやわらかい声が、凍りついてしまった私の鼓膜を震わせる。 なんでまた、こんな所で、こんな状況で鉢合わせするのか? 宝くじも当たったことがないのに、なぜ、こんな天文学的なぶち当たり方をするのか。 ――やっぱり、週末は呪われている。 今度ばかりは、私はそう確信した。
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