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「真理、よしなさい。ご迷惑だよ」
すうっとしゃがんで真理ちゃんと自分の目線を合わせると、課長は静かな声で、そうたしなめた。
でも、真理ちゃんは意に介した様子もなく、ニコニコと更に自己主張を続ける。
「パパは、玲子さんと一緒に、お散歩してきていいよ。真理だけここで、ハンバーガーを食べるから。せっかくのデートなんだから、2人っきりでお話ししたら?」
ええっ!?
ニコニコと天使の笑顔で、可愛らしいピンクの唇から発せられた、少し皮肉すら感じられる大人顔負けのセリフに驚き、まじまじと発言主の顔に見入ってしまう。
うわぁ。
さすがに課長の娘。
この年で、このセリフを言ってしまうのか。
「真理、いい加減に……」
「東悟さん。私も、そうしていただけると嬉しいですわ。2人だけでお話ししたいこともありますし」
困ったように眉根のしわを深くして、尚も娘の説得を試みる課長の言葉は、凛と響く、美しい声に遮られてしまった。
で、『ですわ』?
リアルで初めて聞いたセレブリティ溢れるその物言いに、作った笑顔が引きつった。
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