16 郷愁 #2

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そう言えば、 ブティックの紙袋に着換えを入れて、受付に預けたんだった。 それを受け取らずに、帰ってきてしまった。 ああ、なんてドジ。 いくら急なパーティだったからって、舞い上がるにもほどがある。 こうして連絡を貰うまでものの見事に、すっかりそのことが頭からすっ飛んでいた事実に、思わず唖然。 「あ、ああ、すみません。こちらこそ、お休みなのに、わざわざお手数をおかけしてしまって……」 「いえ、良いんですよ。気にしないで下さい。むしろこうして電話をする口実が出来て、俺的には、ラッキーってなもので」 カラカラと、陽気な笑いに引きずられて、思わず笑みがこぼれた。 「そう言って頂けると、ありがたいです。でも、どうしましょう。どこに取りに伺えば良い……って、ああ、私、車を会社に置いてきていて、バスで伺うことになるので、少し時間がかかりますが……」 答えの代わりに、飯島さんは質問を返してきた。 「高橋さん、今日、予定は空いてますか?」 「え?」
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