18 逢瀬-2

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「……そっか。じゃあ、新しいママは美人さんでいいねぇ」 自分でも、心がこもっているとは言いがたい、空虚な言葉が舌の上を滑り落ちる。 「美人だけど、真理はキライ」 「え? どうして?」 子供らしく、唇をツンと尖らす真理ちゃんの顔をまじまじと覗き見た。 「パパが好きな人じゃないから」 課長が好きな人じゃない? 「でも、婚約者なんでしょ?」 「うん。でもパパが決めたんじゃなくて、おじぃちゃまが決めたの」 おじぃちゃま? またもや、初めて耳にするブルジョワ感溢れるその単語に、目を瞬かせる。 さっきの婚約者嬢の『ですわ』にしろ、今の真理ちゃんの『おじぃちゃま』にしろ、そこの漂うのは私とは縁遠いハイソな世界観。 「真理、結婚は好きな人とするのが良いと思うの。セイリャク結婚なんて、時代遅れよ。そう思わない高橋さん?」 「あ、あははは……」 確かに時代遅れだとは思うけど、人様の家庭の事情に口を出すわけにはいかない。 「そうかもねぇ……」 もう、笑ってごまかそう。
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