18 逢瀬-2

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『政略結婚』、 その単語が決定打だった。 もしかしなくても、課長は所謂『セレブ』と言われる人種なのだろう。 ごく普通の一般庶民の家庭で政略で結婚する必要はないのだから、それなりの家柄なのだ。 なんだ。 そうか。そうだったのか……。 始めから。 もしかしたら、出会った当初から2人の間に特別なものがあるなんてのはただの激しい思い込みで、 一方的な私の片思いだったのかもしれない。 今更ながら、私は家の事も含めて、東悟の事を何も知らない。 大学の先輩だった『榊東悟』時代から、今の上司である『谷田部東悟』まで、私はあの人の事を見事なまでに何も知らないのだ。 それこそ、婚約者がいることすら、知らなかった。 ああ、なんだか、果てしなく落ち込んできた。 「それにね」 「うん?」 「玲子さんは、パパがいる時といない時で態度が違うから、キライなの」 「そ、そうなの?」 「うん、そうなの」 子供の目は侮れない。 真理ちゃんがそう感じるのなら、あの美しい人は、多かれ少なかれ、そういう態度を取るのだろう。
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