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土曜日の今時分は結構お店も賑わっていて、駐車場も8割方埋まっている。
空模様は、飯島さんの言った通り、嫌になるくらいの晴天だ。
待ってるのは、言わずもがなの飯島さん。
やっぱりと言うか案の定と言うか、私は、『俺が車で届けますよ。ついでに、良かったらデートしましょう』と言う、飯島さんの主張をきっぱりと断ることが出来なかった。
どうせ車で行くからと、家まで荷物を届けてくれるとの飯島さんの申し出を、
『アパートが大通りから奥まった所にあって、駐車スペースがないので』
と、苦しい言い訳で丁重にお断りし、
待ち合わせ場所をこのコンビニにしたのは、我ながら頑張ったと思う。
まさか、いきなり部屋に上がらせてくれとは言わないだろうけど、万が一と言うこともある。
それに。
『お気持ちは、とても嬉しいんですけど、実は好きな人がいるんです。だから、お付き合いはできません』
本当は、昨日言わなければいけなかった、飯島さんに伝えるべき言葉を脳内反芻する。
まさか好きな相手が谷田部課長だとは明かせないけど、正直な気持ちを伝えよう。
それが、私を好きだと言ってくれた人への最低の礼儀だと、そう思う。
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