17 逢瀬-1

3/20

576人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
土曜日の今時分は結構お店も賑わっていて、駐車場も8割方埋まっている。 空模様は、飯島さんの言った通り、嫌になるくらいの晴天だ。 待ってるのは、言わずもがなの飯島さん。 やっぱりと言うか案の定と言うか、私は、『俺が車で届けますよ。ついでに、良かったらデートしましょう』と言う、飯島さんの主張をきっぱりと断ることが出来なかった。 どうせ車で行くからと、家まで荷物を届けてくれるとの飯島さんの申し出を、 『アパートが大通りから奥まった所にあって、駐車スペースがないので』 と、苦しい言い訳で丁重にお断りし、 待ち合わせ場所をこのコンビニにしたのは、我ながら頑張ったと思う。 まさか、いきなり部屋に上がらせてくれとは言わないだろうけど、万が一と言うこともある。 それに。 『お気持ちは、とても嬉しいんですけど、実は好きな人がいるんです。だから、お付き合いはできません』 本当は、昨日言わなければいけなかった、飯島さんに伝えるべき言葉を脳内反芻する。 まさか好きな相手が谷田部課長だとは明かせないけど、正直な気持ちを伝えよう。 それが、私を好きだと言ってくれた人への最低の礼儀だと、そう思う。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

576人が本棚に入れています
本棚に追加