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18 逢瀬-2 #2
その破壊的なまでの愛らしさは、ともすれば私の中に負の感情を芽生えさせてもおかしくはない『真理ちゃんが課長の子供』だという事実をも、取るに足らないもののように感じさせる。
ふと、私も、このくらいの年ごろの子供が居てもおかしくない年齢なのだと気付き、ドキッとしてしまう。
でも、無理ね。私にはきっと。
こうして、いつまでも、独りよがりで自分勝手な想いを、断ち切れないでいるのだから。
諦めも要領も悪くて、強欲。
人の親になれるような、自信も資格もない。
第一、相手がいないもの。
「高橋さん。真理、次は、あれがいいっ!」
考えに沈みかけた心を、真理ちゃんの元気な声に掬いあげられて、ハッと現実に立ち返る。
プクリとした小さな指先の指し示す先には、遊園地の定番、メリーゴランド。
何を、ぐちぐち考えてるの。
今日は、私自身も童心に返って楽しむって決めたんだから。
もう、やめ、やめっ!
「よーし、真理ちゃん。メリーゴランドに、レッツ・ゴー!」
「ゴー!」
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