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「…社長」
腕を伸ばし、苦しげに伏せられた社長の目元を指先でそっと撫でる。
「なぜ辞める」
「社長、」
「私を離れることは許さない」
「ご存知ですか鳴海社長」
思いつめる社長の言葉を、私は冷静に遮った。
「社長は秘書課の噂を聞いただけなんですね?」
「そうだ」
また、苦しげに細められた瞳。
社長の目元に触れていた手を、今度は頬へすべらせて、よしよし、とあやすように撫でてやる。
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