第二章【旅路】

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最高だ。 俺は今、これ以上ない幸せを噛みしめていた。 煩わしい奴も、手術もないこの森。 獣の吠え声や鳥のさえずり、川のせせらぎ..この静かな世界に、俺は酔いしれていた。 ・・・ オーデル王国に辿り着くには、大きな森を二つ越え、砂漠を一つ通らなければいけない。 ここで軽く説明しておくと。 俺が今登ってる一つ目の山の名前は獣の森。 名前の通り、獣がとにかくたくさんいる。 狼しかり、熊もその他もろもろも。 獣じゃないが毒蛇だって毒蜘蛛だっている。 この森の最大の特徴として、森に住み着いてるそれら全てのサイズが平均して大きいことがあげられる。 素人というかぶっちゃけ弱い奴が入ったら、すぐに食い殺されるか毒にやられて死ぬかのどれかしか道がない。 俺がとあるお人に鍛え上げられて強いことを知らない国王は、マジでなにを考えているのだろうか。 俺がここで死んだら、嫁(人質)にならなきゃいけないのは第一皇子以外だぞ。 (兄上を目障りだからって嫁にやろうとしても、一応..多分大臣がとめる、はず) クラウかサントのうちどれかを行かせてみろ。 『わぁ~アレン様カッコいいですねぇ~//ぼくぅ、お嫁さんになれてしあわせですぅ~』 何て 敬称は付けるモノの、いきなりの名前呼びに始まり媚びた声と視線をうっとおしく感じさせ。 さらには獣人に対する偏見を平気で口にし。 (お嫁さんになれて幸せだなんて裏を返せば、自国が負けてよかったって言ってるようなもんだからな。) 最初のうちはなんだかんだ気に入られようとやっきになることが予測される。 イケメン大好きだから。 そもそも自分が嫌われるとか考えないんだろうな。 でもあっちは人間が大っ嫌いなわけだし、甘やかされて育ったあいつに耐えられるはずない仕打ちをたくさんしてくるだろう。 あいつは『お父様に言いつけてやる!』って敗戦国の皇子のくせにいうわけだ。 で 冷徹で暴君(調べた)な獣王は、血管がぶっちんして『殺せ。』みたいな。 最愛の息子が殺された国王は学習しないで戦争をおっぱじめ、ユーラシア王国が完膚なきまでに攻め込まれて終わり。 嗚呼、何て暗い未来何だ。 別にあんな国滅んでもいいけど。 兄上さいなければ。
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