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毎日毎日切られて剥かれて抉られて折られて。
高価な麻酔なんて使われたこともなくて、俺はただひたすら絶叫し、失神するのを繰り返していた。
時には生きたまま心臓を抉られて、俺は何度も死の痛みを味わった。
名も知らぬ母親、息子の身体を道具にしか見ない国王、会えば暴力と暴言をぶつてくる異母兄弟。
レイ兄上がいなければ俺は話すことも愛も何もしらずに、自らがされていることが
非道なことだともしらず、生きた人形のような存在になっていただろう。
『手術』の時間以外は小さな何もない部屋にいた。
レイ兄上は毎日毎日国王に内緒で通ってくれた。
たくさんの本を持って来てくれ、読み書きを教えてくれ、この世界の常識を教えてくれた。
国王はただの道具に知識なんて必要ないと思ってるからな。
あいにく俺の部屋に訪れる人なんて兄上しかいなかったから、またたくまに部屋は兄上が持ってきた様々な本で埋まった。
見付かれば殺されてたのかな?
知識を求めた俺は貪欲に、片っ端から読み更けた。
そうこうして俺はレイ兄上への絶対的忠誠と敬愛を、それ以外の人間全てに憎悪を抱いていつかここから逃げ出すことを考えて生きていた。
嗚呼
なんて下らない幼少期。
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