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私が変なことを思いだしていたせいで、顔が火照(ホテ)って熱かった。
浴衣だから…汗、かきたくないのに…
…私の…ばか。
私は両方の手のひらをうちわ代わりにして顔を煽(アオ)いだ。
「どうした?」
不意に拓真さんの顔が近付いてくる。
「な、何でもないです…」
「熱でもあるのか?」
拓真さんが私の頬に片方の手のひらで包み込むように触れた。
「ち、違う。違うっ。何でもないんです」
これじゃあ熱を冷ますどころか、上昇しちゃう。
「拓真さん、大丈夫だから」
私は彼の手のひらを掴んで頬から離した。
すると、そこで
桐谷さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「祐子ちゃん、具合、悪いの…?」
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