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私は彼女に笑い返した。
「…桐谷さんこそ、幸せそう」
二人で笑い合って、後ろの男性二人を振り返る。
「さ、行きましょう!」
「さ、行きましょう」
私たちは広場から人で溢れている通りに出陣した。
歩行者天国になった通りには出店が隙間なく並んで大きな声で客を呼び込んでいた。
出店と出店を繋ぐ紅白のちょうちんが鮮やかで、暗くなり始めた夜空にぽっかりと浮かぶ。
通りを歩く人の会話はざわざわと雑音にしか聞こえなかったけれど、
お祭り独特の雰囲気に胸が高鳴っていた。
私は桐谷さんと並んで歩き、その後ろを拓真さんと社長が追って来ていた。
隣では桐谷さんが楽しそうに笑顔を振りまく。
飾りっ気のない、心からの笑顔で…私の憧れ。
自分がこんな素敵な人たちと一緒にいられるなんて…
本当に夢みたいだった。
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