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「どこって…どこだよ?」
俺の隣で渉が言う。
「花火なんて興味ねえし、見たことねえし。つうか、なんだよこの人は!?何しに来てんだよ」
「…花火を見に来てるに決まってんだろ」
俺は渉に当たり前のことを教えてやった。
「…見られる場所ならいい場所がある」
俺は前を歩く二人を呼び止めた。
人の流れには逆らえないので、俺は二人に道の脇にどけるように手で合図した。
二人が細い脇道を見つけてそこに入ると、俺たちも後に続いた。
「花火、少し離れたところにいい場所があるんだが…大丈夫か?」
俺は二人の足元を見た。
浴衣の二人は下駄を履いている。
「いい…場所…?」
「ああ、この人の群れからは離れて見られる」
俺の言葉に真っ先に反応したのはもちろん祐子。
「…行ってみたいです!」
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