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そして、彼女たちがスローモーションのように私たちの横を通りすぎる。
私たちを過ぎると、彼女たちはこちらを振り返った。
「…なんだ、彼女持ちじゃん」
そこで、拓真さんが私の手を引いて自分の横の位置に戻した。
すごく嬉しかった。
でも…
前を向く私の耳に背後から流れこむ声。
「えぇ…?アレ、彼女?」
…え。
「…妹でしょ!?」
二人の容赦ない笑い声が宵闇(ヨイヤミ)に響く。
「じゃあさ、ナンパしに行くー?」
「本気ーー!?」
私は何かにつまづいた。
「大丈夫か!?」
拓真さんが私を支える。
そして、拓真さんは言った。
「…あんなの気にするな。言わせておけばいい」
やっぱり…
聞こえてたんだ…
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