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花火大会にはもう何年も来ていない。
夏の風物詩と言われるが、随分と見ていないのでどんな感覚だったのかも忘れかけていた。
わずかに覚えているのは弾ける火花の後の、なんとも言えない寂しさだった。
けれど、
渉に誘われて、祐子に話を持ちかけた時の彼女のはしゃいだ顔で
行って見るのも悪くないと思ったのだ。
『拓真さんと初めての花火ですね』
そう言って笑う祐子に目を細めた。
祐子と初めての夜を迎えて以来、
彼女は俺にいろんな初めてをくれた。
それは、何か特別なことをしているわけじゃないけれど
些細な出来事にも
初めての感覚を覚えるのだった。
祐子が笑うたびに…
特別な感覚を味わうことが出来た…
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