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賑やかな通りの中、待ち合わせは駅の近くの時計台だった。
わかりやすい場所なので、多くの人が待ち合わせ場所にしているのだろう。
携帯を片手にみんなが時間を気にして辺りを見回していた。
俺は携帯ではなく、腕時計をちらりと見た。
まだ10分以上はある。
時間を確認して腕を下ろした時だった。
「たーくーまーさん!」
不意に背後で声がした。
その声は紛れもない祐子の声。
振り返った先には初めて見る浴衣姿の祐子が俺の顔を覗き込むようにいつものように俺を見上げていた。
周りを行き交う女性と違って、いつもよりも控えめなメイクが
シンプルだけど女らしいデザインの浴衣によく似合っていた。
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