終わる世界

11/15
前へ
/24ページ
次へ
数秒視線を釘付けにされ、 世界の終わりとやらのカウントダウンを疑ったが、 すぐに気を取り直して、 フォルダ内のファイルの吟味を始めた。 ファイルを開いてみると 最初の五つはキメラの制御に関わる プログラムコード。 ごく一般的な内容だ。 が、六つ目からはかなり怪しい。 キメラの制御システムを改変したり、 プログラムコードその物を破壊するような コマンド表。 百瀬がかなり試行錯誤していた事が窺える。 その下にもいくつかファイルがあるが、 一番下のファイルの名前が気になった。 pandora ver3.02 直感でこいつだと分かった。 吉良はUSBメモリーに問題のファイルを 移動させ、オリジナルを削除した。 多分百瀬はバックアップを取っているだろうが、 ささやかながら抵抗しておく。 パンドラなるファイルを迂闊に開く事は避けたい。 開いた途端に発動する危険性があるし、 証拠隠滅のための小細工がされている可能性もある。 吉良は念のためにスマートフォンのカメラで 百瀬の試行錯誤の跡を記録し、 安全な方法でUSBメモリーを端末から引き抜いた。 これで出来る事は全てした。 後は人事部に報告しに行くだけだ。 吉良は席を立ち、出入口に急いだ。 ドアは近づけば自動で開く。 が、近づく前にドアが開いた。 「!?」 何という事だ。 百瀬だ。 鉢合わせになった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加