第1章

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「だ、大丈夫?ケガ、ない?」 少し控えめに、だけど心配してくれた人がいた。 実「すっ…すいませんっ!」 あたしは慌てて立ち上がろうと、その人の手に捕まった。 男の人みたい。 よいしょ、っと立とうとすると、 実「っあ!いったぁーっ!」 膝立ちしたら、ケガしてたみたいで立てなかった。 どうしよう…周りもなんか人の視線あるし、 せっかくこの人助けてくれたのに… あたしはパニクってたのか、ここで初めて顔を上げた。 あたしは、すぐに彼と目を合わせてしまい、数秒間見つめてしまった。 実「っ…。ごめんなさいっ!」 恥ずかしさのあまり、痛みも忘れてスッと立てたあたし。 実「ごっご心配をおかけしましたあ!」 ちゃんと目を合わせて礼を言えず、あたしはその場からそそくさと逃げた。 あ~。こんな朝から大失態を… ごめんなさい。あの人。 だけど、これから彼がかけがえのない人になるなんて思わなかった。
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