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アイツめ!
浩二のヤツ、私に嘘をつきやがったな!
仮にも、三ヶ月年上の従姉様に、嘘を教えるなんて良い根性じゃないか。
よーし、文句を言ってやらなくちゃ!
壁掛け時計をチラリと確認すると、十時を少し回ったところ。
この時間なら、さすがにもう会社から戻っているはず。
私は、すぐさま『おじさんち』。
つまり父の弟の家である、浩二の実家に電話をかけた。
『はい、佐々木です』
「こっちも佐々木です」
都合が良いことに、浩二本人が電話に出たので、ぶすっとした声で名乗ってやった。
『んあ? なんだ、亜弓か?』
あちらさんも晩酌中だったのか、声に酔っぱらい臭が漂っている。
『珍しいな、どうした? お袋にでも、用があるのか?』
実にのんびりした声音に、なんだかムカッ腹が立ってくる。
おばちゃんに、用はない。
アンタに用があるのよっ!
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