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スープ、サラダ、前菜に続いて運ばれて来たのは、新鮮な魚貝類をふんだんに使ったトマトソースのスパゲッティ。
あまりの美味しさに思わず頬がゆるむ。
(そういえば、拓海と別れてからこんな風に誰かとゆっくり食事することなんてなかったなぁ)
ふと、一月前に別れた彼氏を思い出す。
別れたといっても、厳密に言えば私がフラれたのだが……。
「ごめん、他に好きな人ができた。別れてほしい。」
大学時代に付き合い始めて5年。そろそろ結婚したいなーと考えていた私は、正直とてもショックだった。
だけど、これが現実。
私達の5年間は、たった数秒の言葉で終わった。
5年という歳月はあまりにも長い。
社会人になって借りたマンションのワンルームの部屋でさえ、拓海との思い出が多すぎて息が詰まりそう。
次から次へと涙が溢れてきて、毎日ほとんど眠れない日々が続いている。
あとどれだけしたら、この生活から抜け出せるのだろう。
元々ほとんど会話がないのをいいことに(?)物思いにふけりながら料理とワインを黙々と口に運んだ。
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