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1. 終わりと始まり #2
心地よい体の圧迫感に目を覚ますと、そこには隣りで眠る凌がいた。
眠っているというのは、凌の胸が規則正しい呼吸で上下しているからそう思うだけで、実際見えている訳ではない。
そう、私達は横向にお互い向かい合って寝ていて、私のおでこが凌の胸にコツンと当たっている。
しかも、体は彼の両手と左足でガッチリとガードされていて身動きがとれない。
何度か抜け出そうと頑張ってみたが、あまり動いて凌を起こしてしまうのは忍びないと思い直し、諦めておとなしくする。
しばらくは、そのままの体勢で横になっていたが、何とここで、私のお腹が“グーッ”と盛大な音をたてた。
と、突然
「ぶっ、くくく」
頭の上から笑い声が。
「凌!!起きてたの!?」
私は鏡で見れば間違いなく真っ赤であろう顔を凌に見られないように、彼の胸にしがみついた。
「……悠莉、しがみついてくれるのは非常に嬉しいが、ここはベッドの上だ。しかも、昨夜は一晩、生殺し状態。このままこの体勢が続くと俺の方が我慢出来なくなる。襲われたくなければ少し離れてくれ」
と凌に言われ、慌てて離れる。
そんな私を見て、凌はまたふっと笑って、
「支度して朝飯食いに行くか」
と言った。
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