1. 終わりと始まり #2

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朝食を摂る為に連れて来られたのは、マンションから歩いて5分位の所にある、こ洒落た喫茶店。 ドアの先から漂う、コーヒー好きの私にはたまらない香ばしい香りが、鼻をくすぐる。 「いらっしゃいませ」 こちらを見て、中にいた男性が声をかけた。 凌が一番奥のテーブル席に座ったので、私もそれに従う。 モーニングセットを2つ注文して待っている間に、さっきから気になっていたことを聞いてみる。 「いつも食事はどうしてるの!?」 すると、 「外食」 と、短い返事が返ってきた。 「へっ?いつも!?」 驚きで変な声が出てしまった。 「俺は料理が出来ん!!」 (そんな威張って言わなくても……) 「でも、目玉焼きぐらいは……」 “さすがに出来るよね?”という目をしてみる。 「卵を割ると、殻が入るか黄身が潰れるか、大抵どちらかだ」 自信満々に言う凌にちょっと呆れてしまう。   「だが、これからは毎日お前が作ってくれるだろうから問題ないだろう」 「何でっ!?」 今日も健在の意味不明発言に、声が大きくなる。 「では、お前は、このまま俺が栄養の偏った食事を続けて、早死にしてもいいのか?」 ちょっと膨れながら、子供のようなことを言い出す始末。 私は諦めて、小さくため息を吐きながら、 「じゃあ、行ける時は作りに行くね。さすがに毎日は無理だから」 と言うと、   「飯だけ作りに来るなんてそんな面倒なことせずに、一緒に暮らせばいいだろう」 凌は、さらりと言ってのけた。
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