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朝食を摂る為に連れて来られたのは、マンションから歩いて5分位の所にある、こ洒落た喫茶店。
ドアの先から漂う、コーヒー好きの私にはたまらない香ばしい香りが、鼻をくすぐる。
「いらっしゃいませ」
こちらを見て、中にいた男性が声をかけた。
凌が一番奥のテーブル席に座ったので、私もそれに従う。
モーニングセットを2つ注文して待っている間に、さっきから気になっていたことを聞いてみる。
「いつも食事はどうしてるの!?」
すると、
「外食」
と、短い返事が返ってきた。
「へっ?いつも!?」
驚きで変な声が出てしまった。
「俺は料理が出来ん!!」
(そんな威張って言わなくても……)
「でも、目玉焼きぐらいは……」
“さすがに出来るよね?”という目をしてみる。
「卵を割ると、殻が入るか黄身が潰れるか、大抵どちらかだ」
自信満々に言う凌にちょっと呆れてしまう。
「だが、これからは毎日お前が作ってくれるだろうから問題ないだろう」
「何でっ!?」
今日も健在の意味不明発言に、声が大きくなる。
「では、お前は、このまま俺が栄養の偏った食事を続けて、早死にしてもいいのか?」
ちょっと膨れながら、子供のようなことを言い出す始末。
私は諦めて、小さくため息を吐きながら、
「じゃあ、行ける時は作りに行くね。さすがに毎日は無理だから」
と言うと、
「飯だけ作りに来るなんてそんな面倒なことせずに、一緒に暮らせばいいだろう」
凌は、さらりと言ってのけた。
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